こんにちは、のんです
娘の中学受験を伴走したワーママで、いまは「あのとき気づけてよかった……」と心底ホッとしている、ただの一人の母です。
この記事を書こうと思ったのは、最近、5年生のお子さんを持つママ友から立て続けに、まったく同じ相談を受けたからです。
「デイリーチェック(DC)はできてるのに、マンスリーになると忘れてて点が取れないの。なんでだろう?」
「4年のうちはαに近いところにいたのに、5年に入ってからジワジワ落ちて、本人も自信なくしてる……」
これ、ぜんぶ、6年前のうちです。
そして当時の私は、家庭教師を入れてもイマイチ成果が出ず、本気で「もうサピやめさせたほうがいいのかな」とまで思い詰めていました。
でも結果として娘は、ある「仕組み」を入れただけでマンスリーが安定し、α(最上位クラス)まで戻ってこれました。本人の根性論ではなく、ほんとうに 「仕組みの勝利」でした。
今日はその全部を、当事者ママ目線で、できるだけ正直に書こうと思います。長くなりますが、いま5年生で踏ん張ってるご家庭に、少しでも届けばうれしいです。
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「DCではできてたのに、マンスリーで取れない」問題
まず冒頭の相談、これって本当にサピックスあるあるです。
デイリーチェック(毎週の小テスト)はクラス内でも上位なのに、月1のマンスリー確認テストになると、いきなり偏差値が10下がる。「うちの子、応用力がないのかな……」と落ち込む保護者の方、多いと思います。
でもこれ、応用力の問題ではないことが本当に多いです。
ただ単に、忘れているだけ。
考えてみれば当たり前で、DCはその週に習ったことが範囲です。直前にやればそれなりに取れる。一方、マンスリーは過去1〜2か月の範囲。3週間前にやった単元が、テストの当日まで頭に残っているかどうか、それだけの勝負なんですよね。
サピックスのテキストは1週ごとに新しい単元がどんどん入ってきます。特に5年生になると、デイリーサピックスもデイリーサポートも分量がぐっと増え、「今週分をこなすだけで精一杯」。先週の復習なんてやってる余裕、正直ありません。
結果、こうなります。
- 月曜:今週の授業
- 火〜木:今週分の宿題でいっぱいいっぱい
- 金:DC対策で今週分を直す
- 土:次の週の授業
- → 先週分は2週目から脳の引き出しの奥へ……
- → マンスリー前にあわてて「予想問題プリント」を回す
- → 一夜漬けの記憶でなんとか乗り切ろうとする
- → 取れない
6年前の今ごろの、わが家そのものでした。
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エビングハウスの「1日後に74%忘れる」は本当か?
ここで、有名な「エビングハウスの忘却曲線」の話をさせてください。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス(1850–1909)が、1880年から1885年にかけて自身を被験者として行った記憶実験の結果で、1885年の著書『Über das Gedächtnis(記憶について)』にまとめられています。よく引用されるのは、こんな数字。
- 20分後 → 42%忘れる
- 1時間後 → 56%忘れる
- 1日後 → 74%忘れる
- 1週間後 → 77%忘れる
- 1か月後 → 79%忘れる
「1日経つだけで4分の3も飛ぶの!?」とゾッとしますよね。
ただし、ここは正直に注釈を入れさせてください。
このエビングハウスの実験、覚えさせていたのは **「子音・母音・子音」を組み合わせた"無意味綴り"** という、意味のない3文字の記号の羅列です(「WID」「ZOF」「BOK」みたいな、辞書にもない文字列)。**算数の解法や社会の歴史の流れみたいに、意味とストーリーで覚えるものとは性質が違う。**
しかも厳密にいうと、この曲線は「忘れた割合」ではなく 「節約率(savings score)」、つまり「もう一度覚え直すときに、最初に比べてどれだけ時間が節約できるか」を示したものだ、という指摘もあります。アムステルダム大学のヤープ・ムッレらが2015年に追試した論文(PLOS ONE掲載)でも、この点が確認されています。
なので、「1日後に74%」は、そのまま中学受験の勉強に当てはまる数字ではありません。あくまで目安、あくまで参考値です。
それでも、ここから学べる本質は、はっきりしています。
「人間は時間が経てば忘れる。だから、忘れる前に思い出させる仕掛けが必要」
これだけは、無意味綴りでも意味のある学習でも、共通する真理だと思っています。
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5年生で起きた、わが家の下降スパイラル
少し時間を巻き戻します。
娘がサピックスに入ったのは、新4年生(3年生の2月)から。
入塾テストの結果、上から2番目のブロックでスタートしました。低学年から準備していたわけでもなく、私の中では「滑り出しはまずまず」という感覚でした。
4年生の1年間は順調でした。DCも8割は取れていたし、宿題も全部こなせていた。マンスリーも偏差値60前後をキープ。「サピックス、なんとかなりそう」とすら思っていました。
ところが、5年生になった瞬間、空気が変わりました。
まず、テキストの量が露骨に増える。算数のデイリーサポートはA面B面で別単元、社会も歴史が始まり、理科も計算が一気に難しくなる。GW明けや夏期講習を境に、家庭学習の時間で全範囲を回しきれなくなりました。
そして、マンスリーの平均点が下がっていく。5年からは「数値替えの問題」だけ覚えていても、ちょっと角度を変えられると太刀打ちできない問題が混ざってくる。テキストの後半に「思考力アップ」「入試問題に挑戦」というページが追加され、そこを飛ばすか取り組むかで差が開きはじめました。
娘の偏差値は、61 → 58 → 55 → 53……。
クラスもα近辺から、アルファベットの真ん中あたりまで下がりました。
本人もしんどそうでした。塾から帰ってきて「今日のDC、半分しかできなかった……」とこぼす夜が増え、私もどうしていいか分からず、まずは家庭教師にお願いすることにしました。
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家庭教師は「理解した気」にはなる、でも定着しない
家庭教師の先生は素晴らしい方でした。授業も丁寧で、その日にやった単元は、終わったあと娘も「わかった!」と言う。私もホッとする。
でも、1週間後にもう一度同じ問題を解かせると、解けない。
これ、家庭教師の先生が悪いわけではありません。むしろ先生はちゃんと教えてくれていた。問題は、「教わったその場で理解する」のと、「自分の引き出しに入って、いつでも取り出せる」のは、まったく別物 だったということ。
ここで私はようやく気づきました。
うちの子に足りないのは、"理解"じゃない。"定着"だ。
そして、家庭教師に頼っていたのは、本質的には「親が解説できないから外注する」というだけのことで、定着のサイクル自体は、結局家庭で回すしかない。これは塾の先生が代わってくれることでもないし、家庭教師でも代替できない部分でした。
サピックスは構造的に、「授業 → 家庭で復習・宿題 → DC → 翌週は次の単元」という前提でカリキュラムが組まれています。これはサピックスの批判ではなく、「家庭で復習を回せる子」を前提に最適化された塾なんだ、と腑に落ちた瞬間でもありました。
塾の先生が「テキスト後半の応用問題、無理にやらなくていいよ」と言うのも、私は途中から「裏側」が見えるようになりました。あれは 「学力的にやらなくていい」のではなく、「家庭の負荷的に全員には課せない」という意味だと、私は解釈しています。塾は集団授業の最大公約数でしか面倒見られない。だから、上を狙うご家庭は、家でやってくださいね、という暗黙のメッセージ。
これに気づいたあたりから、私の「サピとの付き合い方」は変わりました。
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転換点:のんの復習サイクル(4回 + 月1総括)
そこからやめたのは、「テスト前の予想問題プリントを徹夜で回す」 ことでした。代わりに、こんなサイクルを組みました。
```
【のん家の復習サイクル】
① その日のうちに(授業当日)
→ 帰宅後、間違えた問題を必ず直す。間違いノートに残す。
② 3日後にもう1回
→ 同じ問題をもう一度、何も見ずに解く。
解ければOK。解けなければ印をつけて、また3日後。
③ 1週間後にもう1度
→ 別の単元の宿題と並行しながら、先週の間違いを再チェック。
④ マンスリー直前にもう1回
→ ここで「まだ忘れてる単元」をあぶり出す。
予想問題ではなく、自分の間違いノートに戻る。
⑤ 月1回、総括テスト
→ 過去1か月で間違えたすべての問題を、母(私)が
テスト形式に作り直して娘に解かせる。
全問正解になるまで、繰り返し。
```
ポイントは、「やみくもに復習しない」「テスト前の予想問題に逃げない」 この2点でした。
これ、エビングハウスの言う「1日後・3日後・1週間後」の復習タイミングとほぼ同じです。意図したわけじゃないんですが、自然とそうなりました。人間の脳の作り上、これがいちばん合理的なんだと、あとから腑に落ちました。
そして、テキスト後半の応用問題(思考力アップ、入試問題に挑戦)も、週に2日ぶん だけ、無理のない範囲で組み込みました。塾の先生は「やらなくていい」と言うけれど、α帯と戦うには、ここを避けては通れないと判断しました。
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結果が出るまで、3か月かかった
正直に書きます。
この仕組みを始めて、最初の2か月は、まったく結果が出ませんでした。
最初のマンスリーは、偏差値53のまま。
次のマンスリーも、54。
「あれ……?やっぱり、子どもの能力なのかな?」
「重点単元だけ深掘りしたほうが、点だけは取れるんじゃない?」
「予想問題プリントに戻ったほうがいいのかも……」
何度も迷いました。夫からも「あんまり親が頑張りすぎてもさ……」と言われたり。
でも私は粘りました。理由はひとつだけ、**「家庭教師にお願いしていたときよりは、明らかに"翌週同じ問題を解いたときの正答率"が上がっていた」** から。テストの点には出ていなくても、娘のノートを見れば、確実に変化していたんです。
3か月目のマンスリーで、ようやく偏差値58。
4か月目、61。
半年後の組分けで、64。
クラスはアルファベットの真ん中から、上位ブロック、そしてα下位 → α中位まで戻ってきました。最終的にαに定着したのは、サイクルを始めて10か月後くらいでした。
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なぜ復習サイクルだけで点が伸びたのか、自分なりの分析
ここからは、私の持論です。
サピックスのマンスリーや組分けって、結局のところ、「過去1〜2か月に習った"型"を、本番でちゃんと引き出せるか」を見ているテストなんですよね。新しい問題を解くのではなく、習った型を当てはめる練習。
であれば、勝負はシンプルで、
1. 全部の単元を、漏れなく一度は理解する
2. 理解した型を、忘れる前に何度も呼び出して、いつでも引き出せる状態にする
この2つを満たせば、偏差値は自然に60を超えてきます。
家庭教師は1番をサポートしてくれますが、2番は家庭の仕組みでしかカバーできない。それが、私が10か月の試行錯誤で得た結論です。
そして、繰り返し復習することで、同じ問題が「数値替え」の角度違いで来ても、初見の応用問題でも、共通する"型"が見えるようになる。応用問題ができるようになる、というのは、地頭が突然よくなったわけではなくて、ベースの型が「ストックとして」十分溜まったから、初見の問題で「あ、これは○○算と××算の組み合わせだな」と分解できるようになる、ということなんだと思います。
つまり、応用力の正体は、深く定着した基本の組み合わせ。これに気づいてからは、「うちの子、応用が弱いから応用問題集をやらせなきゃ」という発想自体が消えました。やるべきは、すでに習ったものの定着を深めること、それだけ。
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「重点だけ」「予想問題だけ」をやめてよかった理由
少し脱線しますが、5年生の保護者会で、塾の先生がこう言ったんです。
「マンスリー前は、テスト範囲の重点単元だけに絞って復習してください」
これ、半分は正しいんです。直前期にやる範囲としては、間違っていない。
でも、これを真に受けると、「習った直後の単元しか復習しなくなる」んですよ。3週間前の単元は、テスト直前にちょこっと見直すだけ。それ、すでに忘れてます。
だから私は、塾の先生のアドバイスを「テスト前の戦術」として聞きつつ、それとは別に「毎週コツコツ回す自分の仕組み」を持つことにしました。サピックスのアドバイスを否定するのではなく、補完する形で。
塾は集団授業の最大公約数でしかアドバイスできません。だから、自分の子に最適化された運用は、結局、家庭で組み立てるしかない。これは中学受験の宿命だと思います。
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最後に:私が「管理の外部化」にたどり着いた話
長くなってしまいました。でも、いちばん書きたかったのはここから先かもしれません。
復習サイクルを回し始めて、効果は出ました。でも、**運用は本当にしんどかった** です。
- 今日やった問題は何ページか
- そのうち何問間違えたか
- 3日後に解かせる予定はいつか
- 1週間後はいつ来るか
- 月1の総括テストには、どの問題を入れるか
これ全部、私はExcelとノートと付箋で管理していました。机の上は付箋だらけ、Excelはシートが30個。夜中まで「明日の朝、娘にやらせる問題はどれだっけ」と探していたこともあります。
仕事もしている身で、これを6年生まで続けるのは正直、無理だと思いました。
そこで私自身でアプリを作ったんです。「お受験マネージャー」というWebアプリです(
お受験マネージャー|中学受験の復習管理アプリ|忘却曲線で苦手を克服
)。
機能の説明をここで延々するつもりはなくて、私の使い方だけ書きます。
- 娘が解いた問題で「間違えたもの」だけアプリに登録しておく
- すると、忘却曲線にもとづいて、次にいつ復習させるべきか*を自動で提案してくれる
- 科目別・分野別の正答率がグラフで見えるので、苦手単元が一発で分かる
- AI問題生成(β機能)で、似た問題を出題してくれる
要は、私がExcelで必死にやっていた「復習タイミングの管理」を、ぜんぶ肩代わりしてくれるんです。
「中学受験の復習・スケジュール管理を、お母さんの代わりに」というキャッチコピーがあるんですが、まさにこれ。私の「管理する脳のリソース」が、娘の問題を解説する側に回せるようになりました。
押し売りするつもりはまったくありません。私自身、最初はExcelで全然回せてたし、付箋でもなんとかなる。ただ、「自分の脳でこれを管理し続ける限界」を感じている保護者の方には、こういうツールに **管理を外部化する** 選択肢があってもいいんじゃないか、と思っています。
私はもう、Excelには戻れません。
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まとめ
長文になってしまいましたが、伝えたかったのはこれだけです。
- 5年生で点が下がるのは、応用力ではなく 定着の問題であることが多い
- エビングハウスが示すように、人は忘れる生き物。だから「忘れる前に思い出させる仕組み」がすべて
- その日 → 3日後 → 1週間後 → テスト前 → 月1総括、の **5タッチ** で定着する
- 結果が出るまで2〜3か月はかかる。でも粘れば必ず変わる
- 塾は集団最適、家庭こそが個別最適の現場
αに上がれたのは、娘が天才だったからではなく、仕組みが回り始めたから です。
ご家庭に合う仕組みを、ぜひ作ってあげてください。
このnoteが、いま5年生で悩んでいるどなたか1人にでも、ヒントになれば本望です。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
のん
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